ブリード現象やノンブリードシールとは?シーリング材の種類も解説

ブリード現象

「シーリング(コーキング)をDIYしてみよう!」

シーリング材は防水効果と建物のショック吸収の役割をもち、以下の場所で施工されています。

  • 外壁の目地
  • 手すりの根本
  • キッチンなどの水まわり

経年劣化したシーリング材は弾力を失い、ボロボロに崩れたりはがれたりして効果が弱まるため、「DIYで直そう!」と考える方も多いでしょう。

いざシーリング材を調べると、NB(ノンブリード)タイプという単語が出てきませんでしたか?

ノンブリードタイプのシーリング材は「ブリード現象がおこらないシーリング材」のことで、ブリード現象とは施工後1,2年で塗装面などに起こる不具合のことを指します。

かといって不具合を防ぐためにどこにでもノンブリードの材料を選べばいいわけではありません

各シーリング材にはそれぞれ最適の施工場所があるのです。

この記事では以下の解説をしています。

  • ブリード現象の詳細
  • 各シーリング材に最適な施工場所の紹介
  • DIYでシーリングをする際のコツ
  • 業者に頼む場合の単価相場

ブリード現象って一体なに?

ブリード現象

ブリード現象の詳細と特徴には以下があります。

  • シーリング箇所の上に塗料を塗ると黒く変色する
  • 施工後1~2年で起こる
  • 塗装面の耐久性が低下し劣化が早まる
  • メンテナンス頻度が増える

ブリード現象は主に外壁の塗装面に対して適切なシーリング材を使用しないことが原因で起こります。

外壁の素材や、新築工事か改修工事かなどによりシーリング施工をする箇所が変わるため、以下の一覧を参考にしてください。

ブリード現象1

そもそもブリード現象の原因とはどのようなものなのでしょうか?

ブリード現象の原因は、シーリング材の原料のひとつである可塑剤(かそざい)と塗料の化学反応です。

可塑剤とはシーリング材やプラスチックを柔らかくするための材料で、シーリング材ではひび割れや剥がれ防止のために原料として使用しています。

ブリード現象が起きてしまった時の対処法

外壁調査

ブリード現象がおきると塗装の劣化を早めるので早急に対処することをおススメします。

対処法はブリード現象を起こしたシーリング材と塗装面の撤去をして、シーリングの打ち換えと再塗装をおこなうのみです。

DIYで施工した場所がブリード現象を起こした場合は、やり直しが面倒に感じるかもしれません。

しかし塗装の劣化が進むと、外壁だけではなく家の構造体にも影響が起きるので、思い切ってやり直したほうが将来的には安心です。

業者に依頼していた場合は、保証期間であれば費用がかからない可能性がありますので、早急に相談しましょう。

業者に改修を依頼するさいは保証期間を含めた入念な打ち合わせが大切です。

ブリード現象の予防方法

ブリード現象の予防方法は以下の2点です。

  • ノンブリードタイプのシーリング材を使用する
  • ブリード現象を防止するプライマーを塗る

それぞれについて説明してきます。

ノンブリードタイプのシーリング材を使用する

シーリング材を購入する際は、NBまたはノンブリードタイプ等の記載がされている商品を選びましょう。

のちほど紹介している、「ブリード現象を考慮したシーリング材の種類と特徴」も参考にしてください。

ブリード現象を防止するプライマーを塗る

以下の3つの条件を満たす場合は、ブリード現象を防ぐことのできるプライマーを使用しましょう。(例:ブリードオフプライマー

  • 既存のシーリングの素材がわからない
  • 既存のシーリングを撤去しない
  • 塗装をシーリングにも塗る

プライマーとは接着剤のようなもので、塗装やモルタル、シーリングなどの施工材料と、外壁などの施工場所がくっつくために必要不可欠な材料です。

ブリード現象を考慮したシーリング材の種類と特徴

外壁 コーキング3

シーリング材は大きく分けて以下の5種類があります。

  1. ウレタン
  2. シリコン
  3. アクリル
  4. 変性シリコン
  5. ポリサルファイド

シリコン以外のシーリング材にはノンブリードタイプの商品があります。

それぞれの特徴や施工対象箇所は以下を参考にしてください。

ウレタンの特徴

ウレタン系シーリング材は以下の特徴を持ちます。

「メリット」

  • 耐久性が非常に高い
  • 硬化すると弾力性を持ち、密着性が高い

「デメリット」

  • 紫外線に弱い
  • ホコリが吸着しやすい

「主な使用用途」

  • 外壁のひび割れや目地の補修
  • ALCや窯業系サイディングなどの目地部分
  • 窓枠まわりの目地部分
  • コンクリートのひび割れ補修

塗装やウレタン防水などを、シーリングの上からかぶせることが前提の材料ともいえるでしょう。

シリコンの特徴

シリコン系シーリング材は以下の特徴を持ちます。

「メリット」

  • 耐候性・耐水性・耐熱性に優れる
  • 比較的価格が安い

「デメリット」

  • シリコンオイルが出て周辺が汚れやすい
  • 塗装面に使用するとブリードが起きる

「主な使用用途」

  • ガラスまわり目地
  • 屋根瓦の補修
  • 水回り(浴室・浴槽・洗面台・キッチン)

施工後シリコンオイルが出続けるため、塗料やウレタン防水、モルタルなどの材料が重ね塗りできず、外壁には使用できません。

「注意点」

値段が安いためDIYで外壁に使用されがちですが、上に塗装がつかないため、外壁塗装を業者に頼んだ際に撤去代を請求される可能性があります。

アクリル系の特徴

アクリルシーリング材は以下の特徴を持ちます。

「メリット」

  • 水性タイプで作業性に優れている
  • 湿った場所にも施工可能

「デメリット」

  • 硬化後に肉やせが起こる
  • 耐候性・耐久性が低い

「主な使用用途」

  • 新築のALCの目地
  • 塗装・クロスの下地処理

メンテナンス性が悪く改修工事ではあまり使いません。

変成シリコンの特徴

変成シリコン系シーリング材は以下の特徴を持ちます。

「メリット」

  • 耐候性・塗装性に優れている
  • 仕上げ材にもなる

シリコン系シーリング材と、ウレタン系シーリング材の中間のような特徴です。

シリコン系よりは耐久性がないかわりに、密着性が高いです。
ウレタン系よりも密着性が低いかわりに外壁に仕上げ材としても使用可能です。ノンブリードタイプもあるため塗装をかぶせることも可能です。

「主な使用用途」

  • 窯業系サイディングやコンクリート、ALC、タイルなどの目地
  • サッシまわり
  • 躯体・板金加工など

変成シリコンシーリング材が一番幅広く使用されています

ポリサルファイドの特徴

ポリサルファイド系シーリング材は以下の特徴を持ちます。

「メリット」

  • ほこりがつきにくい
  • 仕上げ材にもなる
  • 耐久性が高い

「デメリット」

  • 柔軟性が低い
  • ブリードしやすい

「主な使用用途」

  • 外壁タイルの目地
  • サッシまわり

柔軟性が低いと金属など熱による伸縮率が大きくなります。
このため、よく動く部位には施工が向きません。

伸縮時にシーリング材の断裂、剥がれの原因になるからです。

シーリング工事の費用相場

見積書

外壁の手が届かない場所はDIYもしづらいでしょう。

業者に頼む場合はどれくらいの費用がかかるのか説明します。

ブリード現象2

増し打ちでは新しいシーリング材が古いシーリング材の表面をおおっているだけなので、すぐにひび割れが起こるなどの不具合が起きやすいです。

ブリード現象を考慮したシーリング工事の注意点

ポイント

DIYと業者に依頼する場合それぞれの、ブリード現象が起こらないようにするための注意点を紹介します。

DIYをする場合の注意点

ブリード現象を起こさないために必要なことのほかに、ちょっとした施工のコツも紹介します。

「養生がすべてを決める!

シーリング工事はマスキングテープを使って施工場所を養生することで仕上がりの見た目が大きく異なるため、丁寧に行いましょう。

「材料はケチらない!」

安いからと外壁にシリコン系シーリング材を使用すると、塗料が外壁につかなくなります。

水回りにシリコン系以外のシーリング材を使ったり、防カビ材入りの材料を使用したりしないとすぐにカビがはえてしまいます。

材料はきちんと施工場所にあったものを使用しましょう。

業者に頼む場合の注意点

シーリングは建築工事の中でも難しい施工の一つです。

また防水や家の衝撃を緩和することで、家の劣化が防ぐ大切な役割を持っているため、業者に頼むのが得策だと考えられます。

業者に頼む場合の注意点として以下の2点があげられます。

  • ブリード現象を知らないことがある
  • 専門業者かどうかを確認する

近年ではひとつの業種だけではなく、多くの施工を受け持つ業者が増えてきました。

それにより全く知識のない状態で依頼を受ける業者も増えており、それに伴う施工不良も増加しています。

シーリングは技術力が必要な施工なので、シーリングのみをおこなっている専門業者、またはシーリングと性質の近い「防水工事」を兼業している業者に依頼しましょう。

ブリード現象を回避して少しでも長く家を頑丈に保つには業者選びが大切

シーリングが劣化してきたら、外壁塗装、屋上などの防水面もメンテナンスの頃合いです。

どれもある程度はDIYが可能ですが、すべての工事を自分で行うのは非常に大変です。

高い場所や施工が難しい部位はぜひ業者に見てもらって少しでも丈夫で長持ちする家にしましょう。

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