住宅のフルリフォームで使えるローンの特徴や支援制度を解説!

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「フルリフォーム」とは、「スケルトンリフォーム」とも呼ばれており、建物の躯体を除いた内外装、設備機器などをすべて一新するリフォーム工事のことです。

躯体とは、建物の土台や柱などの骨組みのことをいいます。

築年数の経った一軒家やマンションでも、フルリフォームを行うことで、新築のような造りにすることが可能です。

しかしフルリフォームは工事のボリュームも大きいため、通常のリフォームより高額な費用が掛かります。

一般的な費用相場は、一軒家の場合500~2,000万円、マンションの場合300~1,000万円となっており、高額なうえにリフォーム内容によって金額に大きな差が出ます。

工事業者に見積もりを取ったところ、予想以上に高額な金額を掲示され、予算が足りなくなってしまった人もいるのではないでしょうか。

そんな人におすすめなのが、ローンを利用する方法です。

ローンを利用すれば、まとまった資金がなくても工事依頼が可能です。

この記事では、住宅のフルリフォームで使えるローンの種類、メリットやデメリット、お得な支援制度などを紹介します。

もちろん、前もって知っておくべき事項も多くありますので、しっかりと内容を把握しておくことが重要です。

フルリフォームで使えるローンとは?

リフォームローン

住宅のフルリフォームで使えるローンとして、住宅ローン、リフォームローン、フラット35(リフォーム一体型)があります。

それぞれの特徴およびメリットデメリットを以下にまとめます。

住宅ローンのメリットデメリット

住宅ローンとは、住宅を購入、建替え、増改築する際などに使用できるローンです。

フルリフォームで住宅ローンを使用するには以下の2つの方法があります。

・中古住宅の購入とフルリフォームを同時に行い、住宅ローンで両方の資金を借り入れる。

・住宅ローンが残っている住宅を所有していて、現在の住宅ローンをリフォーム資金を含んだものに借り換える。

したがって、自宅のローンが完済済みの場合や、そもそも借り入れずに住宅を購入した場合、住宅ローンを使用したリフォームはできないので注意しましょう。

【メリット】

他のローンと比較して金利が低く、0.5%以下がほとんどです。

借入年数は最長で35年あり、長期的に返済していくことが可能です。

また、住宅ローン控除の対象となりますので、毎年のローン残高に応じて控除を受けることができます。

【デメリット】

住宅ローンの審査基準は他のローンより厳しいです。

審査に通らないケースも多々あり、通った場合でも満額の借り入れが認められないことがあります。

リフォームローンのメリットデメリット

リフォームローンとは、住宅のリフォーム専用のローンです。

中古住宅を購入した際や、すでに所有している住宅のフルリフォーム、どちらの場合でも使えます。

 【メリット】

ローンには有担保型と無担保型がありますが、リフォームローンの場合、借入額によっては無担保型を選択できます。

またローンの審査基準は緩めで、手続きも比較的簡単です。

【デメリット】

住宅ローンと比較して金利が高く、相場は約2~5%です。

また、借入年数は金融機関によりますが、最長でも15年程度であり、住宅ローンと比較すると短めとなっています。

フラット35(リフォーム一体型)のメリットデメリット

フラット35とは、業務形態や職業、勤続年数などの制限がない、幅広い層の人々が利用できる住宅ローンです。

住宅金融支援機構と金融機関が提携して融資を行います。

中古住宅を購入する際も、一定の基準を満たしている住宅であれば利用可能です。

そして中古住宅購入と同時にリフォームする場合、工事費を住宅の購入費と併せて借入可能となるのが「フラット35(リフォーム一体型)」です。

【メリット】

全期間固定金利型のローンのため、金利は一定のままで、繰り上げ手数料も掛かりません。

審査は、住宅ローンとは異なった基準がありますが、職業、勤続年数などにとらわれないため、基本的には通りやすいと考えて良いでしょう

【デメリット】

変動金利型と比較すると金利が高めになる傾向があります

現在、金融機関の金利は非常に低く設定されており、将来的に上がる可能性はあるものの、大幅な変動がない限り、固定金利のほうが返済総額は多くなるでしょう。

また、利用できる物件に条件があるため、物件審査を行う必要があり、この審査には費用が掛かります。

それぞれのローンに向いている人は?

住宅ローンを利用して中古住宅を購入し、フルリフォームを行う人は、リフォーム費用も同じローンでまとめて借り入れたほうがお得です。

まとめて借りた場合、諸費用を一本化できる、金利を抑えられる、といった様々なメリットがあるからです。

住宅ローンが残っている住宅を所有している人は、ローン残高にフルリフォームで掛かる費用を加えた金額で新たに借り換えるか、住宅ローンとは別にリフォームローンを利用するか、2つの選択肢があります。

この場合は、どちらが向いているとも言えず、ローンの残高、金利、借入期間などを確認し、2つのパターンそれぞれを比較検討し、得になると思われるほうを選択しなければなりません。

なお、前述した通り、すでにローン完済済みの人や、そもそも借り入れをせずに住宅を購入した人は、住宅ローンの使用ができないため、利用可能なのはリフォームローンのみです。

最後にフラット35(リフォーム一体型)が向いている人ですが、ローンを利用して中古住宅を購入しフルリフォームする場合、変動金利より固定金利を好む人、または自営業やフリーランスで住宅ローン審査に通りにくい人におすすめできます。

フルリフォームでローンを組む手順

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フルリフォームでローンを組んだ場合、どのような手続きが必要になるのか、実際に流れをみていきましょう。

見積もりを取り金額を把握しよう

フルリフォームに掛かる金額を把握するため、リフォーム業者へ見積もりを依頼しましょう。

見積もり依頼する際、以下の点に注意してください。

・リフォーム内容、条件、予算などをできるだけ細かく決めておく。

・複数の業者へ依頼する際は依頼条件を統一する。

・間取り図があれば準備する。

・電話やメールだけでなく、現地確認をしてもらう。

すべてを踏まえるには、それなりに時間を要しますので、ある程度、余裕を持って取り掛かることが大切です。

審査申し込み後に融資が決定

金額が確定したら、ローンを組む金融機関へ仮審査を申し込みます。

仮審査の通過後、本審査に移りますが、必要な書類が多数ありますので、事前に申し込みをする金融機関に確認しておきましょう。

本審査に申し込んだ後、1~2週間ほどで審査の結果が通知されます。

通知結果が合格であれば、金融機関との間でローン契約を結ぶことになります。

契約の締結後、指定した日時に融資が実行されて、ローン契約を結んだ金融機関からリフォーム工事業者に工事費用が振り込まれたら融資決算が完了です。

フルリフォームする場合のお得な支援制度

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住宅のフルリフォームでは、国や各自治体が設けている支援制度を使える場合があります。

主な制度の種類を以下にまとめます。

リフォームで利用できる主な減税制度

一般的なリフォームで利用できる主な減税制度を2つ紹介します。

【バリアフリーリフォーム】

高齢者や身体障害者の人が生活しやすい環境にするためのリフォーム工事を指します。

制度を利用した場合、工事費用の年末ローン残高の2%または1%が5年間、所得税額から控除されるのです。

対象工事として、手すりの取り付け、ドアを引き戸へ交換、トイレや浴槽の改良などがあります。

【省エネリフォーム】

省エネリフォームとは、住宅の省エネ性能が向上するリフォーム工事のことで、主に断熱工事を指します。

制度を利用した場合、工事費用の年末ローン残高の2%または1%が5年間、所得税額から控除されます。

すべての居室の窓に断熱工事を行うことが必須条件です。

併せて行う床、壁、天井の断熱工事も対象です。

フルリフォームする場合に使いやすい補助金制度

フルリフォームのように大きな金額をかけてリフォームする場合に使いやすい補助金制度を1つ紹介します。

【長期優良住宅化リフォーム】

築年数の経った住宅を、耐久性、耐震性、省エネ性が高く、維持管理しやすいようにリフォームする場合に工事費等の一部を国が補助する制度です。

補助金の対象になるには、以下の要件を満たす必要があります。

・リフォーム後に建物の性能が一定の基準(耐久性、耐震性、省エネ性、維持管理など)を満たす。

・建物の性能向上、三世代同居対応、子育て世帯向け、いずれかの改修を行う。

・事前に建物のインスペクション(有資格者による建物調査)を行う。

・リフォーム履歴と維持保全計画を作成する。

リフォーム後に満たす性能基準に応じて、補助金には「評価基準型」「認定長期優良住宅型」「高度省エネルギー型」の3つの事業タイプがあります。

補助率は工事費の3分の1で、補助限度額は事業タイプにより異なりますが、高度省エネルギー型の場合、最大で300万円が補助されます。

小規模なリフォームでは対象となりにくいのですが、フルリフォームであれば使えるケースも多いです。

そのため、フルリフォームを実施する人は是非とも利用したい制度です。

フルリフォームの内容を具体的に決めたうえでローンを組もう

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ローンを利用して住宅のフルリフォームを行う場合、何より大事なのはリフォームの内容を具体的に決めることです。

フルリフォームに掛かる費用は工事内容によって幅が大きく、リフォーム内容が具体的に決まっていなければ、はっきりとした金額が算出できません。

費用はどのローンを使うべきかの判断基準にもなりますので非常に大事です。

また、リフォーム内容によって支援制度が使える場合もありますが、内容が決まっていなければ対象かどうかの調べることも困難です。

一度リフォーム工事を行ってしまえば、元には戻せないため、ご自身の家族ともしっかり話し合い、できるだけ時間をかけ慎重に進めることをおすすめします。

リフォームローンの特徴から金利体系、手続きの流れを知りたい場合は「リフォームローンとは?ローンの種類や金利、申し込みの手順を徹底解説!」もご覧ください。