金属系サイディングの塗装のすべて!タイミングから適した塗料や費用まで

外壁 サイディング金属系

「金属系サイディングにどうして塗装が必要なの?」
「金属系サイディングを塗装する時期の目安がわからない」

このような疑問を持っている人が多くいます。
金属系サイディングの塗装について、知識があいまいなまま工事を依頼すると、悪徳業者に高額な工事費用をだまし取られてしまうかもしれません。

この記事では、金属系サイディングの塗装について、以下の情報を解説します。

・金属系サイディングの特徴と種類
・塗装が必要な理由
・塗装時期の目安
・適した塗料の選び方
・塗り替え費用の目安
・塗装工事の流れと必要日数
・塗装業者を選ぶ5つのポイント

記事を読み、金属系サイディングの塗装についての基礎知識を得ることで、塗装工事の失敗を避けやすくなるでしょう。

金属系サイディングの特徴と種類

外壁 サイディング金属系2

まずは、金属系サイディングの特徴と種類を確認しておきましょう。

サイディングは大きく分けて、窯業系・金属系・木質系・樹脂系の4種類があります。そのうち金属系サイディングは、日本窯業外装材協会によると、窯業系サイディングの78.3%に次ぎ、12.5%*で第二位のシェアを誇ります。(一般財団法人日本窯業外装材協会「戸建て住宅市場における外壁材素材別シェア」)

金属系サイディングは、芯材を中心に、裏面に断熱材、表面に柄付けされた金属板を貼り合わせた外壁材です。金属ならではの強度と高い耐久性が特徴で、さらに軽量であることから、家の耐震性を高める点でも建材として優れています。

金属系サイディングは、以下の4種類に分かれます。

・塗装溶融亜鉛めっき鋼板
・アルミニウム合金塗装板
・塗装ステンレス鋼板
・塗装ガルバリウム鋼板

それぞれの特徴を、チェックしておきましょう。

塗装溶融亜鉛めっき鋼板

高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸して、亜鉛の被膜を施した溶融亜鉛めっき鋼板に、焼き付け塗装をした外壁材です。亜鉛には犠牲防食作用があるため、耐久性が高いことが特徴です。(犠牲防食作用とは、亜鉛めっきに傷がついて素地の鋼板が露出したときに、先に亜鉛が溶けだして腐食から守ることを意味します)

アルミニウム合金塗装板

アルミ鋼板に塗装を施した外壁材で、加工しやすく、サビにも強いと言われています。また、アルミニウムであるため軽量で、建物への負担が少ないことが特徴です。

塗装ステンレス鋼板

耐食性に優れたステンレスを、塗装用原板に使用しています。耐久性に優れ、加工しやすいことが特徴です。

塗装ガルバリウム鋼板

アルミニウムが55%、亜鉛が43.4%、シリコンが1.6%含まれたガルバリウム鋼板に、塗装を施した外壁材です。アルミニウムの耐久性と、亜鉛の犠牲防食作用を兼ね備えています。

金属系サイディングに塗装が必要な理由

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金属系サイディングは、塗膜と素材そのものの2層にすることで、高い耐久性を保っています。特に、素地が金属であることから塗装不要と考える人が多くいます。しかし、実際は、長持ちさせるために、定期的な塗装メンテナンスが不可欠です。

確かに金属系サイディングは、窯業系や木質系とは異なり、素材自体は吸水しません。そのため、素材自体が水を吸うことによる破損(ヒビや割れ欠け)はほとんどない優秀な素材です。しかし、金属系サイディングは金属であるがゆえに、水分に弱い性質を持っています。

製造時に施された初期塗装が劣化したり、表面のめっきに深い傷が付いたりしてしまうと、サビる可能性が高くなります。金属系サイディングの塗装は、防水性を保つのではなく、素地の金属が水分に触れるのを防ぐために必要なのです。

なお、外壁ではなくカーポートの屋根に使う波板にもガルバリウム鋼板を使います。波板の詳しい情報は「波板プロ」が参考になります。

金属系サイディングの塗装時期の目安

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金属系サイディングであっても、素地を水分から守るために塗装メンテナンスが必要とわかりました。金属系サイディングに塗装が必要な時期は、どのように見極めるのでしょうか?

金属系サイディングの塗装は10年が目安

金属系サイディングの塗装メンテナンスは、10年を目安にするのがおすすめです。理由は、塗料の耐用年数が10年前後であることがほとんどだからです。

特に、金属系サイディングに関しては、塗装は金属を水分から防ぎ、サビさせない大切な役割があります。塗装が劣化し、金属の素地自体にサビが出てしまった場合、メンテナンス時にサビを落とす手間とコストが発生してしまいます。

最悪の場合、塗り直しできずに一部、あるいは全面張り直しになる可能性があるでしょう。金属系サイディングは、塗装の劣化が進む前の早めのメンテナンスが重要なのです。

劣化症状が出ていたら早めの塗り直しが必要

金属系サイディングは、塗料の耐用年数にかかわらず、劣化症状が出ていたら早めに塗装する必要があります。

以下のような劣化症状が確認できたら、業者に相談するようにしてください。

・色あせや変色
・チョーキング現象
・塗膜のヒビや浮き、剥離(はがれ)
・白サビや赤サビ

それぞれどのような症状なのかを紹介します。

色あせや変色

金属系サイディングの外壁が、もとの色より薄くなったと感じていませんか?色あせや変色は、紫外線の影響で顔料が分解されることが原因で発生します。以前より色が薄くなっている、あるいは雨が降ったあとや水で濡れたときに色が濃くなるようなら塗装が劣化しているサインです。

チョーキング現象

外壁を手で触ると、塗装の色をしたチョークの粉のようなものが付く現象をチョーキング現象と呼びます。チョーキング現象は、色あせからさらに塗装の劣化が進むと発生します。早めに塗装業者へ相談するようにしましょう。

塗膜のヒビや浮き、剥離(はがれ)

塗膜のヒビや、浮きや剥離も塗装が劣化すると発生する症状です。塗膜とは、塗装したときの塗料が乾燥して固まり膜状になっているものを指します。

塗膜にヒビが入ったり浮いたりしていると、そこから入り込んだ水分に金属が直接さらされるのでサビやすくなってしまいます。早急に塗装メンテナンスが必要な状態です。

白サビや赤サビ

金属系サイディングに白サビや赤サビが出ているときには、塗装が劣化し金属を守り切れていない証拠です。このままサビが広がると、塗装メンテナンス時にはサビを落とすための手間とコストがどんどんふくらんでしまいます。

放置していると、サビが進行してしまい、最終的にはサイディングに穴が空くといった深刻な状況になることも考えられるでしょう。少しでも早く塗装業者に相談するようにしてください。

金属系サイディングに適した塗料の選び方

外壁 ベランダ 防水6

金属系サイディングに使える塗料には、さまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。グレードによって耐用年数、1平米あたりの単価も違うので、予算にあわせて選ぶようにしましょう。

金属系サイディングに使用できる、塗料の種類や選び方を紹介します。

塗料の種類と耐用年数

金属系サイディングに使用する塗料には、以下のような種類があります。

・アクリル塗料
・ウレタン塗料
・シリコン塗料
・ラジカル塗料
・フッ素塗料

それぞれの耐用年数や1平米あたり単価、特徴をまとめました。

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このうちアクリル塗料は、耐用5〜7年と短いため、外壁塗装で使用されることはあまりありません。短期で解体する予定がある、短い期間にいろいろな色に塗り替えたいといったケースでのみ、使用を検討するようにしましょう。

特別な理由がない場合には、ウレタン塗料よりグレードが上の塗料を選ぶのがおすすめです。

劣化が進んでいないならクリヤー塗装も可能

金属系サイディングは、劣化が進んでいないケースに限っては、クリヤー塗装も可能です。

サビ止めの下塗り塗装が必要な金属系サイディングは、外壁の上に塗料をベタ塗りする塗りつぶし塗装が一般的でした。しかし、近年は、防サビ効果のある金属系外壁専用のクリヤー塗料が製品化されているため、クリヤー塗装もできるようになっています。

クリヤー塗装には、もともとの金属系サイディングの色やデザインをそのまま活かせるメリットがあります。

さらに、プライマーやサビ止めなどの下塗りが不要なので、工期と費用をカットできる可能性があります。ただし、金属系サイディングの劣化状況によっては、3度塗りが必要になるケースがあり、必ずしも安くなるとは限りません。

また、金属系サイディングにチョーキング現象が発生していると、塗料の素地が密着しないので注意が必要です。クリヤー塗装をしてもすぐに塗膜が剥がれてしまうため、通常の着色塗料から選ぶようにしましょう。

塗料はメンテナンスコストを考えて選ぶ

金属系サイディングの塗料を選ぶときには、これから先のメンテナンスコストを考えることが大切です。安い塗料を選ぶと、1回の塗装コストは安くつくでしょう。しかし、耐用年数が短いので、塗り替え回数が増えることになります。

対してグレードが高い塗料は、1回の塗装にかかる費用は高くなる一方、耐用年数が延びるため塗り替え回数は少なくて済みます。

この数年のうちに出産を控えている、子どもが大学に進学するなど、大きな出費を予定していてコストを抑えたいケースもあるでしょう。そうでない場合には、耐用年数を優先したほうが、長期的には安くつくのでおすすめです。

金属系サイディングの塗り替え費用の目安

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実際に金属系サイディングを塗り替えるときには、費用はどれくらいかかるのでしょうか。ここからは、金属系サイディングの塗り替え費用の目安を、工程別の単価とあわせて紹介します。

40坪のサイディング住宅の外壁を塗装する費用相場は80~150万円

金属系サイディングを外壁に使用した住宅の塗装費用は、一般的な40坪の住宅で80〜150万円が相場です。

塗装にかかる費用は、塗料のグレードや、現在の劣化状況により異なります。特に、サビが発生している場合には、ケレンと呼ばれるサビを落とす作業が必要になるため、コストがかさむことが予測されます。

外壁塗装をDIYすると、人件費がかからないため安く抑えることが可能です。しかし、劣化状況の見落としや、下地処理が不十分になる可能性、高所からの転落などが考えられるためおすすめしません。外壁塗装は、業者に依頼するようにしましょう。

金属系サイディング塗装の工程別単価の目安

金属系サイディング塗装の、工程別単価の目安を一覧にしたので確認しておきましょう。

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上記が金属系サイディングの塗装に必要となる、一般的な工程です。

なかでもケレン作業は、重要な工程となります。既存のサイディングについた汚れやサビをきちんと落としておかなければ、塗料が密着せずに長持ちしてくれません。ケレンを丁寧に行ってくれる業者を探すようにしてください。

屋根塗装と同時施工すると安くつく

外壁塗装は屋根塗装と同時に施工すると安くなることが多くあります。それは、どちらも高所作業となることから、足場を組む必要があるためです。

例えば、それぞれの工事を1年ずらして実施した場合、足場を2回組む必要があります。しかし、同時に行えば、足場を組むのは一度で済みます。そのぶん工期が短くなるため、結果的に工事費が安くつくのです。

金属系サイディングの塗り替えをするときは、屋根の劣化状況も確認し、同時に工事ができないかを検討するのがおすすめです。

金属系サイディングの塗装工事の流れと必要日数

金属系サイディングの塗装工事がどのように進み、どれくらいの日数が必要なのかも見てみましょう。

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上記が一般的な金属系サイディングの塗装工事の日程です。

金属系サイディングの劣化がひどくサビが広範囲に広がっているケースや、工事の期間中に雨が降った場合には、日数が延びることがあります。場合によっては、10日〜2週間程度かかることがあるでしょう。

金属系サイディングの塗装業者を選ぶ5つのポイント

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よい業者を見極めるポイントを5つ紹介します。外壁塗装は、安くても数十万円、高ければ百万円単位でコストがかかるので、業者選びは慎重に行うようにしてください。

相見積もりを取る

必ず複数の業者に同内容で見積もりを取る、「相見積もり」を行うようにしてください。同じ内容であるにもかかわらず、不自然に高い、あるいは安い業者を除外することで、悪徳業者にだまされる危険性を減らすことが可能です。

特に、他の業者よりもかけ離れた安値を提示する業者には要注意です。工事の途中で「この工事が必要」「これは見積もりに含まれていない」と、次々追加料金を要求される可能性があるので、避けるようにしましょう。

見積もり内容を詳しく記載している業者を選ぶ

見積もり内容を、できるだけ詳しく記載している業者を選ぶことも大切です。作業ごとの単価や、作業面積が記載されているかどうかを確認し、「一式」とされていないかを確認しましょう。

使用する塗料のメーカーや種類、使用予定量が記載されているかも重要です。塗料は種類ごとに、1平米あたりの使用料が決まっているので、作業面積と比較して少なく見積もっている業者は要注意です。

疑問点はその都度確認し、納得いくまで説明してくれる業者を選びましょう。

中間マージン不要の自社施工している業者を選ぶ

中間マージン不要の、自社施工している業者を選ぶと塗装工事のコストを抑えられるのでおすすめです。

塗装工事を「なんとなく安心感がある」といった理由で、大手のハウスメーカーやゼネコンに依頼する人も多くいます。しかし、ハウスメーカーやゼネコンは、自社で工事を行うことはほとんどなく、下請け業者に仕事を流すことがほとんどです。

そして、下請け業者に仕事を流す際に発生する中間マージンは施工費用に含まれ、最終的には発注者が負担することになります。同じ工事であるにもかかわらず、間に大手業者をはさむだけで費用が高くなってしまうのです。

自社施工している業者の場合、現場の職人も自社の人間であるため、不明な点や疑問点にその場で答えてもらえます。いちいち元請けに確認する必要がなく、タイムロスやコミュニケーションコストが発生しないことも、自社施工している業者を選ぶメリットです。

施工実績を公開している業者を選ぶ

塗装業者を選ぶときには、ホームページを確認し、施工実績を公開しているところを選ぶようにすると安心です。

外壁塗装業者の中には、塗装実績が豊富にあると宣伝しているにもかかわらず、実際の工事の写真を掲載していないところも少なくありません。本当は実績がさほどない、あるいは工事の様子を見られては困る事情があるとも考えられるので避けましょう。

アフターサービスの内容をチェックする

外壁塗装は、頻繁に行う工事ではないので、アフターサービスの内容は詳しくチェックするようにしてください。

最近の塗装業者は、自社補償を付けるところがほとんどです。しかし、より重要なのは内容になります。塗料の耐用年数を超えるような、長い保証期間は不自然です。不具合が出て補償を迫っても、実際には免責が多く、対応してもらえない可能性も考えられます。

悪徳業者の中には、保証が厚いように見せかけて契約させるところもあるため注意が必要です。

金属系サイディングは劣化する前に塗装することが耐久性を維持する秘訣

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金属系サイディングは、劣化する前に塗装メンテナンスをすることで、耐久性を維持できます。窯業系や木質系とは異なり、金属系サイディングの素材自体は耐水性があります。しかし、耐水性がある=水分に強いわけではありません。金属である以上、水分に触れるとサビてしまいます。

そのため、金属系サイディングは、サビる前に塗装メンテナンスをすることが重要です。サビてからのメンテナンスは、サビを落とす手間とコストがかかります。耐久性を維持し、メンテナンスコストを抑えるためにも、金属系サイディングは早め早めのメンテナンスを実施するようにしましょう。

もしサイディング外壁の費用相場を具体的に知りたい場合は40坪でサイディング外壁を塗装する費用相場は80〜150万円だ!もぜひご覧ください。