「リフォームローンってどんなローンなの?」
「リフォームローンの種類や金利について知りたい」
「ローンの申し込みはどんな流れで進むの?」
リフォームローンの利用を検討していて、こういった疑問をもっている人も多いのではないでしょうか。リフォームローンを理解しないままでいると、いざ融資を受ける際に後悔するかもしれません。
この記事では以下の項目について解説します。
- リフォームローンの種類や金利
- リフォームローンの申し込みの手順
- ローンを利用する際に知っておきたい減税措置や注意点
上記をしっかり理解して、賢くローンを利用しましょう。
リフォームローンとは?

リフォームローンは住宅の修繕や増改築の費用を借りられるローン商品のことです。数十万円で済むリフォームもあれば、数千万円もかかる大規模な工事もあります。一度に支払うのがなかなか難しいリフォーム費用をローンで借りられます。
リフォームローンの種類

リフォームローンは無担保型、有担保型、そして住宅ローンと合体した一体型住宅ローンの3種類があります。3種類のリフォームローンについて金利の相場やメリット・デメリットを説明します。
無担保型
無担保型は建物に抵当権を設定しないタイプのローンです。メリットとして短期間で借りられる手軽さが挙げられます。提出書類が少なく、審査が比較的緩めです。また審査結果が1~2週間以内に出るスピード感も魅力です。
一方で金利が2.5~5.0%と割高なのがデメリットです。借入期間が最長でも15年と短くなっています。借入限度額が1,000万円と低めに設定されているので、リフォームの種類によっては利用できない場合があります。小規模のリフォームを行う際におすすめのローンです。
有担保型
有担保型は住宅ローンのように建物に抵当権を設定するタイプのローンです。メリットは金利の安さです。中には1%を切る低金利の商品もあります。借入期間が最長35年、最大1億円まで借りられるスケールの大きさが有担保型のローンの魅力です。大規模なリフォームを行う場合におすすめです。
有担保型のデメリットとして審査が厳しいことが挙げられます。審査内容については後ほど解説しますが、住宅ローン並みの難易度と考えておくとよいでしょう。また手続きの際、事務手数料や抵当権抹消、設定費用といった諸費用も多くかかります。
一体型住宅ローン
一体型住宅ローンとは住宅ローンとリフォームローンが合体したローンです。住宅ローンを返済中の場合は、一体型住宅ローンに借り換えるのもおすすめです。
2つのローンを一括管理できるので、返済計画が見えやすくなります。金利は有担保型と同じく低めです。リフォームの内容によっては、別々でローンを組むよりも返済額を安く済ませられます。ただ商品の数は無担保型と有担保型にくらべて少なく、取り扱いがない金融機関もあります。
リフォームローンの借入先

リフォームローンの借入先として以下の4つがあります。借入先によってさまざまな特徴があります。
- 大手・地方銀行
- ネット銀行
- 財形住宅融資
- 自治体融資
多彩なローン商品がそろっている大手銀行は資金力があり、高額融資を受けやすいのが特徴です。地方銀行はその地域独自のサービスを提供しています。地域に根付いた金融機関ということもあって、相談しやすいという点も地方銀行の魅力といえます。
ネット銀行はネットで全ての手続きが行えることが最大のメリットです。仕事や家事などで店舗に行く時間がない人におすすめです。自治体融資はほかのローンより低金利で利用できる「融資あっせん制度」があります。地域によっては補助金制度もあるので、お住まいの自治体に確認してみてください。
財形住宅融資は財形貯蓄を1年以上行い、残高が50万円以上ある人が利用できます。財形貯蓄とは、勤労者財産形成貯蓄制度において給料・ボーナスから一定の額が金融機関に積み立てられるものです。事務手数料がかからないのが特徴です。
リフォームローンの返済方法

返済方法として元利均等返済と元金均等返済の2つがあります。それぞれのメリット・デメリットを紹介します。自分のライフプランと照らし合わせながら、返済方法を選択することが大切です。
元利均等返済
元利均等返済は毎月の返済額が一定になる返済方法です。メリットとしては最後まで返済額が一定なので、返済計画が立てやすくなります。一方で総返済額は元金均等返済よりも多くなるのがデメリットです。
元金均等返済
元金均等返済は元金の返済は一定で、残高に応じて利息がプラスされる返済方法です。元利均等返済にくらべて、元金の減りが早く総返済額が少ないのがメリットです。元金均等返済は家計の管理がしやすい返済方法といえます。
デメリットとしては返済を始めた頃は毎月の返済額が高くなります。今後教育費などの支出が増えるので、貯蓄に余裕があるうちに返済したいという場合は元金均等返済がおすすめです。
リフォームローンの金利体系

リフォームローンは固定金利と変動金利の2つの金利体系があります。どちらの金利体系を選ぶか悩む人が多い項目なので、それぞれの特徴をきちんとおさえておきましょう。
固定金利
固定金利はローンの返済が終わるまで金利が変動しないタイプです。固定金利は、全期間固定金利型と固定金利期間選択型に分かれます。固定金利期間選択型は固定金利期間の終了時に、残りの返済では固定金利にするか変動金利にするかを選択できます。
金利の変動がなく返済計画が立てやすいことがメリットです。また金利が上がらないという安心感があるのが固定金利です。一方で変動金利よりも金利や返済額が高いのがデメリットとなります。資金があまり多くない方、教育費など今後支出の予定がある人は固定金利がおすすめです。
変動金利
変動金利は返済中に金利が見直されるタイプです。金利は年2回見直されますが、返済額の変更は5年ごとに行われます。
メリットとしては固定金利よりも金利が低いことと、今後金利の上昇がない限りずっと低金利を享受できることです。ただし金利が上昇するリスクがあります。実際に金利が上昇した場合は返済計画を修正しなければならないのがデメリットです。
リスク管理能力に優れている、金利が変動しても対応できるほどの資金を持っている、または返済期間が短い人は変動金利に向いているでしょう。
リフォームローンを含む住宅ローンにおいて、一番利用されている金利体系は変動金利です。住宅金融支援機構が行った調査によると、2015年から2018年の新規貸出実績では変動金利の割合が高くなっています。
金利タイプ別の貸出実績(金額加重平均)

住宅金融支援機構「2019年度 民間住宅ローンの貸出動向調査」をもとに作成
2018年度は変動金利型が70.4%、固定金利期間選択型が24.6%、全期間固定金利型はわずか5.0%でした。
リフォームローンの金利は「【初心者向け】リフォームローンの金利相場は?安くなるポイントも紹介!」でも詳しく解説しています。
リフォームローンで利用できる減税措置

リフォームローンでは税金の減税措置を受けられる場合があります。減税措置があるのは所得税や固定資産税、贈与税です。必要書類を用意して翌年の確定申告期間に税務署に申告する必要があります。
所得税は住宅ローン控除・投資型減税・ローン型減税の3つがあります。リフォームの内容によって適用される減税措置が異なるので注意しましょう。
住宅ローン控除
住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高の1%が所得税から戻ってくる制度です。控除期間は10年で最大控除額は年間40万円、10年間で400万円です。ただし令和元年10月1日から令和2年12月31日の間に居住を開始した場合に限って、控除期間が13年に延長されます。
投資型減税
投資型減税は、工事費用の約10%が所得税から差し引かれる制度です。控除期間は1年、最大控除額は65万円です。控除額が所得税より上回った場合、翌年の控除に繰り越されます。
ローン型減税
ローン型減税は、工事費用のローン残高を控除対象にした減税制度です。控除期間は5年となります。最大控除額は年間12.5万円、5年で62.5万円です。
固定資産税の軽減措置
固定資産税の軽減措置では、住宅の形態やリフォーム内容によってそれぞれ一定の期間税金が減額されます。措置が受けられる住宅は令和4年3月31日までに新築された建物で、税額の半分が減額されます。工事の完了後3ヶ月以内に、物件の所在する市区町村へ申請します。
贈与税の軽減措置
贈与税の軽減措置は家族からリフォーム資金として贈与を受けた際に、一定額は贈与税がかからないという制度です。非課税枠は住宅を購入した時期によって変わりますが、最大で3,000万円です。
ただし条件があり、贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下の人のみ適用されるので注意しましょう。贈与を受けた年の翌年に税務署へ申請します。
リフォームローンの申し込み手順と必要書類、審査の難易度

リフォームローンの申し込み手順や必要書類、審査の難易度を解説します。申し込みから融資実行までのイメージを掴むためにもしっかり理解しましょう。
申し込みの流れ
リフォームローンの申し込みの流れは以下の通りです。ローンの種類によって時間がかかる場合があるので、計画的に進めることが大切です。
- リフォーム業者への見積もり
- 仮審査
- 本審査
- 契約手続き・融資実行
見積もりは業者が自宅を訪れる現地調査をもとに行います。現地調査の際、業者に希望する完成時期や予算を伝えるとよいでしょう。見積もりで業者からもらった書類は、ローンを申し込むときに必要なので保管します。工事費用を比較しやすいように、複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
仮審査はネットで行う金融機関が多いです。結果は1週間ほどで分かりますが、中には即日で審査結果が出る金融機関もあります。本審査への申し込みはネット銀行だとネットで、他の金融機関は窓口か郵送で行います。本審査の結果は1~2週間で出ることが多いです。
本審査で承認されたら契約手続きを行います。店舗や郵送での手続きが多いです。リフォーム工事が完了した後に融資実行されます。
申し込みで必要な書類
リフォームローンを申し込むなかで、書類の提出を求められる場面があります。仮審査ではネットで行うため、提出する書類がない金融機関が多いです。インターネット上の入力フォームにて個人情報や借入希望額、借入期間を入力します。
本審査と契約手続きの際にいくつかの提出書類があります。本審査の提出書類は以下の通りです。
- 本人確認書類
- 年収を確認できる書類
- 資金使途証明書類
- 借入申込書類
本人確認書類は運転免許証かパスポート、または在留カードを用意します。年収を確認できる書類については、会社員の場合は源泉徴収票、自営業やフリーランスの場合は納税通知書が必要です。
資金使途証明書類とはローンの使い道が分かる書類です。リフォーム会社から受け取った見積書や契約書が当てはまります。借入申込書類はローンを申し込むための書類で、金融機関によって形式が異なります。
次に契約手続きの際に必要な書類は以下の通りです。
- 本人確認書類
- 融資金の入金口座を証明できる書類
本人確認書類として運転免許証やパスポート、在留カードのいずれかを提出します。融資金の入金口座を証明できる書類とは、入金先の通帳のことです。なお提出書類は金融機関によって異なる場合があります。
審査の難易度
審査の難易度は無担保型と有担保型で異なります。無担保型は比較的緩めです。収入や勤続年数、ほかのローンの返済遅延の有無をチェックされます。
一方で有担保型は建物に抵当権を設定するため、審査の難易度は住宅ローンと同じくらい厳しいです。国土交通省 「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、90%以上の金融機関が融資を行うときに以下の項目を考慮しています。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 担保評価
- 借入時年齢
- 年収
- 勤続年数
- 連帯保証
- 金融機関の営業エリア
返済できる収入源があるかどうか、きちんと完済するかどうかをさまざまな側面からチェックしています。ほかにも返済負担率や雇用形態なども審査する金融機関もあります。
有担保型は団体信用生命保険の加入が必須と定められている場合が多いです。団体信用生命保険とはローンの契約者が返済中に亡くなった際に返済を肩代わりするものです。健康状態が悪い人は加入できず、ローンの審査が通りません。
また、住宅金融支援機構「2019年度 民間住宅ローンの貸出動向調査」によると、金融機関が回答した「本審査において近年重要度が増していると考えられる審査項目」は以下の通りです。
- 返済負担率(63.0%)
- 業種・勤務先・雇用形態(45.0%)
- 借入比率(36.0%)
- 借入者の社会属性(30.3%)
- 預貯金や資産の保有状況(27.7%)
- 返済途上での返済能力の変化(26.0%)
- 担保となる融資物件の評価(14.3%)
最も重要度が高い項目は返済負担率です。返済負担率は収入と返済額の比率ですが、35%が上限としている金融機関が多いです。業種・勤務先・雇用形態が2番目に高い項目で、契約社員やアルバイトの場合は審査が通らない可能性があります。
リフォームローンを利用する際の注意点

リフォームローンの全体像を把握したところで、次に賢くローンを利用するために注意してほしい点をまとめました。ぜひチェックしてみてください。
返済計画は入念に立てる
多額な費用がかかるリフォームローンは事前に計画を立てておくことが重要です。特に小さな子どもがいる家族は注意が必要となります。なぜなら今後子どもの養育費で支出が増えることが予想されるからです。
また住宅ローンを返済中の家庭はリフォームローンを申し込めば二重に負担がかかります。ライフプランに合わせた返済計画を作りましょう。
業者は慎重に選ぶ
詐欺に遭わないためにも、リフォーム業者選びは非常に大切です。中には高額な費用を請求したり、施工事例を教えてくれなかったりする業者がいるからです。不安を煽られて焦って契約しないように、複数の業者に見積もりを依頼するとよいでしょう。
減税措置を適用したい時は申請する
リフォームローンの減税措置は申請しないと適用されません。減税措置の種類によって提出書類や申請先が異なります。申請し忘れることがないように申請期限や申請先を必ず確認しましょう。
リフォームローンを理解して上手にローンを利用しよう

今回はリフォームローンの種類や金利、申し込みの手順について紹介しました。どのリフォームローンが自分にあっているのか時間をかけて選びましょう。
株式会社MFSの「住宅ローン選び」の後悔に関するアンケートによると、ローン選びで後悔した人の理由には以下があります。()内は複数回答による回答者の割合です。
- もっと金利の低い金融機関を選べばよかった(31.7%)
- 違う金利タイプを選べばよかった(20.3%)
- 不動産会社に言われるがままに選んでしまった(14.9%)
- 団体信用生命保険についてもっと慎重に選べばよかった(7.9%)
- ボーナス払いを選ばなければよかった(7.4%)
- 返済期間をもっと延ばせばよかった(4.0%)
- 返済期間をもっと短くすればよかった(10.4%)
上位2つが金利に関するものでした。ローン選びに十分な時間をかけなかったことで、後悔してしまう人が多いです。また自分がローンについて詳しくないので、不動産会社に言われた通りにローンを選んだという人もいます。
どのローンを選ぶかによって返済額が変わってきます。金利が1%違うだけで返済額に数百万の差がでることもあるため、しっかりリフォームローンを理解して、上手にローンを利用しましょう。
「【初心者向け】リフォームローンの金利相場は?安くなるポイントも紹介!」ではリフォームローンの金利を安くする方法を解説しているので、少しでもローン返済額を抑えたい方はぜひご覧ください。