「家の外壁をキレイにするのに、いくらかかるのか?」
見当がつきにくいですよね。
一般的なサイディング住宅の外壁塗装は、業者に頼むと80~150万円、DIYだとその半額くらいが相場だといわれています。
思わず「DIYで頑張ってもいいかな?」と思ってしまいそうな金額の違いですね。
しかし業者に頼むメリットは、気づきにくい家の劣化に処置を施すなど、家をきれいに長く保つ秘訣を抑えて施工することです。
この記事では40坪のサイディング外壁の住宅の塗装を業者に頼んだ時の施工内容と金額の内訳について説明しています。
サイディング外壁を塗装する費用の相場は80~150万円!

日本の一軒家の平均坪数は35~40坪で、40坪のサイディング住宅での外壁塗装にかかる費用総額の相場は80~150万円です。
サイディングの外壁は、劣化状況により外壁塗装よりも以下の施工がおススメの場合もあります。
- 張り替え工法
- カバー工法
1.「張り替え工法」は新しいサイディングで外壁を作り直す施工です。
メリットは外壁内部の防水層のメンテナンスができることです。
デメリットは費用が高いことがあげられます。
2.「カバー工法」は既存の外壁の上に新たにサイディングを張り付ける施工です。
メリットは外壁が厚くなるので、遮音性、遮熱性が増すことがあげられます。
デメリットは外壁の内側にある防水層のメンテナンスをしないことで、浸水や、腐食している柱のメンテナンスができないことです。

業者に依頼するだけではなく、DIYで施工することも可能です。
DIYでの外壁塗装のメリット、デメリットは以下の点が挙げられます。
DIYのメリット
- 費用が安い
- 自分の予定に合わせて施工できる
DIYのデメリット
- 劣化状況の見落としがある
- 慣れていないと危険
問題点として、塗装がはがれやすかったり、塗料が近隣に飛散することで賠償金を払うことがあったりします。
また、深刻な劣化の補修はDIYでは難しいといった要因もあります。
なかにはDIYしたことで費用が余計にかかってしまうケースもあるので、塗装だけではなく改修工事全体のノウハウがない場合はおススメしません。
あなたの大切な家を守るためにも業者に依頼をしたほうがいいでしょう。
サイディング外壁の塗装費用の内訳

見積書では、外壁の塗装時の各工程の単価は「◯◯円/1平方メートル」で表記されます。
また、工事の価格は「人件費+材料代+会社の利益」で構成されていることが多いです。
150万円の外壁塗装工事を例にすると、おおよそ以下の割合で内訳が作られるでしょう。

※金額は「万円」
※人件費は作業人数3人と計算し、3人工(にんく)で6万円×12日で計算
40坪の一軒家の外壁の面積は約150平方メートルですので、「各工程の価格=150×単価」で算出します。
サイディング外壁の塗装における工程別の単価

外壁塗装は、塗装をふくめて以下の工程を順番におこないます。
- 足場の組み立て・解体
- 養生
- 高圧洗浄
- 下地調整
- 塗装:下塗り
- 塗装:中塗り・上塗り
- 塗装:付帯部の塗装
- シーリング
各工程の目的と40坪の一軒家(150平方メートル)での費用相場は以下を参考にしてください。
1.足場の組み立て・解体

足場は工事現場を覆っているメッシュ状の布と、鉄パイプの枠組みのことです。
足場があることで外壁塗装や補修時、高所作業が早く正確におこなえて、キレイで長持ちする家が短期間(2週間前後)で仕上がります。
足場がないと施工の質が下がり、工期も倍以上かかるでしょう。
足場は以下の3種類が主流とされていて、それぞれで単価も異なります。

一軒家の足場だとくさび型足場が主流です。工期も早く、足場以降の工程時の作業もしやすいのでおススメです。
2.養生

養生は足場用と作業用の2種類に分かれます。
足場用の養生は、足場周りに張ってあるメッシュ状の布のことです。
このメッシュ状の布は、近隣への塗料などの飛散防止用として使用します。

作業用の養生は、塗装や、下地補修、シーリングの施工時におこなうものです。
材料で余計な部分を汚さないためと、仕上がりのライン(見切り)をキレイに出すために施します。
窓ガラスや玄関などを、マスカーやマスキングテープで保護しながら、外壁との境界をまっすぐ見切りが出るように張り付けて、施工後に養生をはがすとキレイな仕上がりとなるわけです。
作業用養生の対象箇所は、施工内容や、窓の数、窓のサイズにより費用の差が生まれやすいです。
またマスキングテープでの養生だと、平方メートルでの算出が困難なので、ざっくり5,000円前後で算出されることが一般的でしょう。

3.高圧洗浄

高圧洗浄は高圧の水を吹き付けることで外壁の汚れや、カビ、コケを落として、塗料が外壁に密着しやすくするための施工です。
汚れなどが残っていると、外壁と塗料の間に汚れの層ができてしまいはがれやすくなってしまうのです。
水道水のみの洗浄と、バイオ洗浄の2種類があります。
バイオ洗浄は以下の工程を経て、頑固な汚れを落として汚れも付きにくくします。
手順としては以下の2工程があります。
- 外壁全体に薬品を塗る
- 高圧洗浄
普通の高圧洗浄より費用が高くなるうえ、外壁塗装をする場合は今後の汚れ防止をするメリットが薄いので余裕がある場合のみおススメです。
また水道代はあなたの負担となりますが、1日の作業時間を8時間とした場合の水道使用料金は1,300円ほどなので安心してください。

4.下地処理

下地処理はサイディングのクラックや欠損、そり返りを補修することで以下の役割をはたします。
- 家の中への浸水防止
- 外壁の補強
家にクラックが入る理由は、家の家具の配置や、家の形により重心がかたよることで一部に負荷がかかるからです。
放っておくと劣化が進み補修費用が高くなってしまうので、塗装と同時に下地処理もしておく事がおススメです。
サイディングの家では以下の下地補修をおこないます。
- クラック埋め(刷り込み/Uカット)
- 欠損成型
- 一部張替え(そり返り補修)
1.「クラック埋め」は、刷り込み工法とUカット工法の2種類あります。
刷り込み工法は「クラック幅0.05~2.5ミリ未満」のモノが対象で、シーリング材やセメント系材料を塗りつけクラックを埋めます。
「Uカット工法」は、「クラック幅2.5ミリ〜15ミリ未満」のクラックを以下の手順で補修する施工です。
- Uカット
(クラックを均一な幅にするために削り取って溝を作る作業)
- ケレン・清掃
- プライマー塗布
- クラック埋め
「ケレン」とは施工前に、補修対象とそのまわりのけば立った表面(バリ)を落としてキレイにすることです。
ケレンにより補修材が接着しやすくなり、仕上がりもキレイになります。
クラック埋めは、Uカットでできた溝の表面だけシーリングをして、補修箇所からの浸水を防いだのちセメント系の材料で穴を埋める場合と、溝全体をシーリングで埋める場合の2パターンです。
どちらの方法で穴を埋めるかは、サイディングの素材などによります。
2.「欠損成型」は、サイディングのカケや、表面のはがれを補修するために以下の5工程を経ます。
- ケレン・清掃
- プライマー
- 成型
- プライマー
- 仕上げの成型
仕上げの成型はサイディングの模様に合わせた表面に仕上げることで、補修箇所を目立たなくする作業です。
3.サイディングの一部張替えは、クラックと同じように負荷がかかることでそり返ったサイディングを切り取って張り替える作業です。
一部分なので価格を抑えることができます。

下地補修方法は色々あるうえ、家の劣化状態により費用が大きく異なります。
相場は3~4万円程度です。
5.塗装:下塗り

塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3工程のことをさします。
下塗りの役割は既存の外壁と塗料が接着するためで、大きく分けて、以下の3つに分類されます。
- シーラー
- プライマー
- フィラー
1.シーラーは水性塗料用の接着材です。
接着効果のほかに、仕上げ塗料が既存外壁に浸み込むことを防ぎます。
仕上げ塗料がしみこむと色むらや、気泡がでてしまい仕上がりが汚くなります。
2.プライマーは油性塗料用の接着材で、金属やプラスチックの素材を塗装するさいに使用されます。
主に使用されるのは付帯部という箇所です。「付帯部」は後ほど説明しますのでそちらを参考にしてください。
種類によっては防サビ効果のあるプライマーもあります。
3.フィラーは、外壁全体に塗るよりもクラックがある場所など、補修が必要な場所に使用される下地調整材として使用されます。
シーラーやプライマーの様な液体ではなく、粉末と液体を混ぜた材料です。
接着効果があるものと、接着効果のないものがあり、接着効果のないモノを使用した場合は後ほどシーラーを塗布します。
下塗りの前段階である下地処理の項目で施工される場合がほとんどです。
シーラーとプライマーは同じ意味で使われることも多いです。
また、シーラー・プライマー・フィラーは見積もりではすべて「下塗り」という項目になります。

6.中塗り・上塗り

中塗りと上塗りは同じ仕上げ用の塗料を使用します。塗料の単価は、色と素材により変わります。
耐久年数の高い素材や、特注色のような珍しい色を選ぶと値段が高くなります。
- 中塗り=下塗り材の色を消すため
- 上塗り=色むらをなくして表面の色味を均一にするため
2回塗ることで色味だけではなく、塗装の厚みをつけて風雨や紫外線に対する耐久性を高めます。
中塗りと上塗りで同じ材料を2回外壁に塗るため、40坪の家(150平方メートル)の場合は、「300平方メートル×単価」が施工費用です。

ウレタンは10年ほど前までは外壁塗装の材料として主流でした。
しかし柔らかい素材なので、クラックが入りづらいというメリットと同時に、傷がつきやすいというデメリットとがあげられます。
ウレタンに代わって外壁塗装材としてポピュラーになった材料がシリコンです。
耐久性や、コスト、性質のバランスに優れていています。
注意点にあげられることとしては悪徳業者の存在があります。
「単層弾性シリコン」という、価格が安くて耐久年数が低い材料を、悪徳業者は普通のシリコン塗料の単価ですすめてきます。
見積書に「単層弾性シリコン」と書いてあったら金額が高くなっていないか確認しましょう。
上記の図の「おススメの使用箇所」は目安です。
長く住む予定なら耐久性重視、応急処置ならコスト重視と、あなたの状況に合う塗料を選びましょう。
7.付帯部の塗装

付帯部とは家の外壁と屋根以外をさす部分です。
選ぶ塗料により施工費用は変わりますが、平均的な費用は以下のものです。

詳細は下記を参考にしてください。

※1
軒=外壁より突き出た屋根のこと。
軒天井は家の下から見上げた際に見える軒の天井部分のこと
※2
軒先は軒の先端部分のこと。
8.シーリング

サイディングはボードを張り合わせることで外壁をつくっているので、構造上、つなぎ目(目地)ができます。
つなぎ目を未処理でいると雨水や湿気が家の内部に入り込んでしまい、柱の腐食や電気のショートなど家の劣化を早めてしまいます。
雨水や湿気の侵入を防ぐためには、サイディングの目地に「シーリング」と呼ばれる防水処理を行います。
外壁の目地や、窓枠とガラスのつなぎ目など、家の内部だとキッチンと壁のさかい目など水回りについているゴムのような素材がシーリング材です。
また防水だけではなく、家の衝撃を和らげる効果もあります。
家は地震のゆれや、重心のかたよりが起こることできしみますが、シーリング材が外壁同士の衝突をさけるクッションの役目を果たします。
シーリングの役目
- 防水
- 家の衝撃緩和
シーリングはとても重要かつ、技術力の高い作業なので業者に依頼することがおススメです。
基本的には最後の工程ですが、外壁の既存のシーリング材の劣化が進んでいる場合、防水の観点から高圧洗浄の前に施工されることもあります。
施工方法は「増し打ち」と「打ち換え」の2種類です。
- 増し打ち=既存のシーリングの表面に薄くシーリング
- 打ち換え=既存のシーリングを撤去してからシーリング
増し打ちの場合は注意が必要です。
古くなったシーリング材は硬くてボロボロと崩れやすい状態なので、増し打ちで防水性が一時的に回復をしても衝撃緩和の役目は果たしていません。
また既存のシーリング材が切れたり破損したりすると、新しいシーリング材も一緒に切れてしまう可能性があるので、防水性、耐久性ともにあまり期待をもてません。
シーリングの施工方法ごとの価格や特徴は以下のようになります。

諸経費

工程の地位部ではありませんが、費用に加算されるのが「諸経費」です。
諸経費とは現場での施工以外にかかる雑費の総称です。
総工事費の5〜15%の金額で、施工費用が150万円の場合の諸経費は「7~23万円」で算出されます。
諸経費の一例は下記を参考にしてください。
- 電話代
- ガソリン代
- 打ち合わせ代
- 現場の下見代
- 現場管理費
このように、細かい経費が合わさったものが諸経費となります。
サイディング外壁の塗装費用を40坪でシミュレート!

これまで紹介した工程をもって外壁塗装工事一式と考えられます。
ただ塗装を塗るだけではなく色々な作業があり、各工程を各専門業者が行う場合が多いので、DIYでまかなうのは大変です。
ぜひ色々な業者に見積もりを依頼して、相場や対応の仕方を比較しながら業者を選んでください。
以下ではサイディング外壁の塗装費用の総額を出した見積もり例を紹介しますので、参考にしてください。
サイディング外壁の費用を安くするポイント

サイディング外壁の塗装費用を安くするポイントは3つあります。
- 外壁塗装の仲介業者には依頼しない
- 繁忙期にサイディング塗装を依頼しない
- 自治体の補助金・助成金を活用する
次項で詳細を説明します。
1.外壁塗装の仲介業者には依頼しない
外壁塗装を下記のような比較的大手の業者に依頼すると、2次、3次と下請け業者に施工を依頼することになるので、工事費用が仲介手数料込みの価格になってその分高くなります。
- ゼネコン
- ハウスメーカー
- ホームセンター
- 一部の工務店など
逆に自分の会社で施工をしている業者に依頼をすると仲介料がないため費用が安く抑えられます。
とはいえ施工の質が気になりますよね?
大手の業者に頼むと質のいい業者に施工してもらえると考えてしまいそうですが、一概にはいえません。
腕がいいから大手、腕がないから大手から仕事をもらえないというわけではなく、各業者の仕事の取り方の違いなだけです。
自社施工をする会社を見分けるポイントは、ホームページで職人の紹介をしている専門業者です。
仲介手数料も抑えられるし、ホームページがキチンと作られている会社はその分しっかりしている場合が多いので判断基準の一つにしてください。
2.繁忙期にサイディング塗装を依頼しない
塗装業者は、雨や雪が少ない夏~秋が繁忙期です。
繁忙期に外壁塗装を依頼すると他に仕事もあるため割引がなかったり、断られることも想定したりした高い金額での見積もりを出してくることが考えられます。
費用を抑えたい場合は繁忙期を避けたほうがいいでしょう。
ただし雨が多い季節だと予定よりも工期が伸びてしまう可能性がありますので注意が必要です。
3.自治体の補助金・助成金を活用する
遮熱塗料による塗装やリフォーム全般に補助金・助成金を支給している自治体があります。
サイディング外壁工事の補助金・助成金の支給額の目安は、「工事費の10〜20%」または、「上限額が10〜20万円」です。
決して安くはない外壁塗装工事ですし、支給額もそれなりの金額ですね。
ぜひあなたが住んでいる自治体のホームページを見たり、電話や役所の窓口で相談したりしてみてください。
まとめ:サイディング外壁の塗装費用は業者選びで安くしよう

サイディング外壁の塗装費用は、業者選びで大きく変わります。
悪徳業者に依頼してしまうと詐欺や手抜き工事にあってしまうでしょう。
悪徳業者を見抜くためには自分で1社ずつ電話をして相見積もりを依頼し、業者を比較する手間と時間が必要です。
外壁塗装の業者選びに時間と手間をかけられない人には、信頼できるインターネットサイトを利用することをおすすめします。