「吹き付けタイルと他の塗装の違いは?」
「我が家の外壁に吹き付けタイルは向いている?」
「吹き付けモルタルで失敗しない方法はある?」
モルタル外壁の塗装について調べていると「吹き付けタイル」という言葉を目にすることがあります。
外壁塗装において吹き付けタイルとはどのような方法なのでしょうか。
この記事では、上記の疑問に対してわかりやすく解説しています。
吹き付けタイルによる塗装を検討しているのであれば、ぜひ最後までお読みください。
吹き付けタイルって何?

「吹き付け」というのは、スプレーガンと呼ばれる機械を使った塗装方法です。
吹き付けタイルは、模様付け用の主材をモルタル外壁に吹き付け、上塗り塗装で仕上げる方法です。
モルタル外壁を吹き付けで仕上げる方法は「吹き付けタイル」以外にも「リシン」「スタッコ」が存在します。
ちなみに「吹き付けタイル」「リシン」「スタッコ」はモルタル外壁用の仕上げであり、サイディング外壁には適用できません。
サイディングとは?
建物の壁を作るために、一定の大きさのボードを張り合わせて覆う方法を「サイディング工法」と呼び、既製品のボードを「サイディング」と呼びます。
現在、国内で建てられる新築住宅の約80%はサイディングを採用しています。
吹き付けタイルの特徴とメリット・デメリット

吹き付けタイルの外壁はまるで陶磁器のような仕上がりで、指でふれるとツルツルしているのが特徴です。
リシンとスタッコは主材(塗料)にあらかじめ骨材を混ぜ、吹き付けて完成するのに対し、タイルは模様付けと塗装が別の工程です。
以下は「タイル」「リシン」「スタッコ」の違いを一覧表にしたものです。参考にしてください。

以下ではリシン・スタッコとの比較における、吹き付けタイルのメリットとデメリットを詳しく解説します。
吹き付けタイルのメリット
①塗り替えやすく、上塗りだけで性能が戻る
リシンやスタッコは、同じ材料を数回塗り重ねるだけで完成する「単層仕上げ」です。
単層仕上げは主材と骨材を混ぜた塗料の重なりで、上から塗り替える際には洗浄や塗装方法に手間がかかります。
特にスタッコは表面の凹凸が多く、塗り替えの際は塗料を吸いこむため大量の塗料が必要です。
一方の吹き付けタイルは、模様付けと仕上げの上塗りが別々の層を作る「複層仕上げ」です。
塗り替えは、一番表面の上塗り層が劣化した時点で行えば、少ない塗料で簡単に施工できます。
また、塗り替えだけで性能が新品同様に戻るのも大きなメリットでしょう。
②塗料によっては高耐久
吹き付けタイルは模様付けと上塗り塗装が別の工程です。
上塗りを高耐久の塗料で仕上げることで、リシンやスタッコよりも長持ちさせることが可能です。
③汚れにくい
リシンやスタッコは凹凸が大きいため、汚れが付きやすく落としにくいという欠点があります。
吹き付けタイルの壁は、陶磁器のようになめらかなので汚れがつきにくく、洗浄も楽に行えます。
④ひび割れにくく防水性が高い
リシンやスタッコは単層なので、ひび割れが起きやすいという欠点があります。
ひび割れから水が浸入すれば、モルタル本体や構造体に致命的なダメージを与えかねません。
一方の吹き付けタイルでは主材・上塗り塗料ともに弾性のある材料にすることで、ひび割れしにくくなります。
さらにタイルの主材がひび割れても、最上層の弾性塗料が伸びてひび割れを覆うことで、水の浸入を防ぎます。
⑤カラーや模様が豊富
リシンやスタッコの模様は変化を付けることが難しく、比較的単調な仕上がりになります。
また単層仕上げの場合には専用塗料を使うので、カラーバリエーションも限られるのが現状です。
一方の吹き付けタイルは、職人の技術次第で模様や質感を変えられるというメリットがあります。
さらに、上塗り塗料はカラーバリエーションが豊富なので、好みの色で塗装できるでしょう。
吹き付けタイルのデメリット
①工程が多い
吹き付けタイルは複層仕上げなので、単層仕上げのリシンやスタッコよりも工程数が多くなります。
単層仕上げは同じ材料を塗り重ねるだけですが、複層仕上げは違う材料を数回ずつに分けて塗り重ねるためです。
通常、リシンやスタッコは3工程、吹き付けタイルは4~5工程を要します。
工程が多くなれば工期が長くなり、人件費といったコストへの負担も大きくなります。
②透湿性が低い
単層仕上げのリシンやスタッコは、材料などの特性からある程度の通気性や透湿性を持っています。
複層仕上げの吹き付けタイルの場合、最表層には防水性の高い塗料で上塗りを行います。
そのため表面の上塗りでフタをされたような状態になっており、透湿性が低くなります。
透湿性が低い外壁では木造住宅の寿命が短くなるので、注意が必要です。
③耐久性が上塗りの質に左右される
吹き付けタイルの耐久性は上塗り塗料の質で大きく変わります。
コストを気にするあまり質の悪い塗料を選べば、耐久性の低いリシンよりもさらに短命になる可能性もあるでしょう。
吹き付けタイルの施工前に知っておきたいこと

吹き付け工法3種類の中でも、吹き付けタイルはメリットが多くおすすめできる工法です。
ただし吹き付けタイルの施工では、いくつかの注意点が存在します。
それらの注意点をおさえることで、吹き付けタイルでの失敗を防ぎましょう。
技術が必要なため業者選びが重要
リシンやスタッコは粒の大きさがそろった骨材を吹き付けるため、一定の模様付けが容易にできです。
ところが吹き付けタイルには軸となる骨材が存在しません。
そのため吹き付けタイルは、職人の腕前によって仕上がりに差が生じます。
ランダムな模様は吹き付けタイルの魅力ですが、バラツキが大きすぎれば目立ってしまうでしょう。
きれいな模様を施工できる、高い技術を持った塗装業者を選びたいものです。
具体的には、「一級塗装技能士」などの資格者が施工する業者を選ぶとよいでしょう。
上塗り塗料の選定は慎重に
吹き付けタイルの外壁性能の多くは、上塗り塗料によって決まるので、慎重に選択しましょう。
低品質な塗料では外壁の寿命が短くなります。
だからと言って、絶対に高品質な塗料が必要とも限りません。
高品質な塗料には耐久性や耐水性、遮熱性能や防汚性能など、さまざまな特徴を持った製品があります。
どのような性能が必要かは、立地条件や築年数、その他建物の状況によって変わります。
本当に必要な性能を見極めたうえで、予算に合った塗料を選択しましょう。
他のモルタル仕上げも知っておこう
モルタル外壁の仕上げ方法には、スプレーガンで行う吹き付けの他に、「左官仕上げ」「ローラー仕上げ」も存在します。
「吹き付け」「左官仕上げ」「ローラー仕上げ」それぞれの特徴を知った上で、ベストな選択をしたいものです。
以下の一覧表では、3種類の比較からメリットとデメリットを整理しています。

まとめ:吹き付けタイルは業者選びが重要

今回はモルタル外壁の仕上げ方法の一つ、「吹き付けタイル」の基礎的な知識から、施工依頼の注意点までを解説しました。
数あるモルタル外壁の仕上げの中でも、吹き付けタイルは優れた方法です。
吹き付けタイルは、他の仕上げ方法に比べて技術が必要なので、業者選びが大切です。
資格を持った職人を抱える塗装業者を選択することで、失敗する確率は下がるでしょう。
なお、サイディング外壁の場合の費用相場の目安は「40坪でサイディング外壁を塗装する費用相場は80〜150万円だ!」で解説しています。
具体的な費用を知りたい場合はチェックしてみてください。