「自宅のウレタン防水にひび割れや、はがれ、膨れが…… 」
あまりにも多い場合だとメンテナンスの時期かもしれませんね。
ウレタンは、はじめ弾力があり柔らかいのですが、経年劣化で硬化と収縮が起きる素材なのでそれにともない、ひび割れ、はがれがおこります。
また家の湿気がうまく排出されないことや、ひびから水が入り込むことが原因で膨れになります。
「DIYで補修をしよう!」
と、ホームセンターや通販サイトでウレタン防水塗料について調べても、種類が多く「どれを選べばいいのかわからない……」と困っていませんか?
または「少しでも安くしたいので、できるところは自分で!」とお考えのあなた。
この記事では以下のことを紹介します。
- ウレタン防水塗料の種類と選び方
- おススメの道具と材料
- DIYでの施工のコツとチェックポイント
- 業者に頼む場合の単価
記事を読めば、ウレタン防水をするための塗料の種類を判断して適切な材料を選べるようになるでしょう。
ペンキじゃない?ウレタン防水塗料ってどんなもの?

ウレタン防水塗料は一般的には「ウレタン防水材」と呼ばれているものです。
塗料というとペンキ(塗装)のようなイメージを持つかもしれませんね。
道具も塗装と同じでハケやローラーを使用することが主流ですが、塗装とウレタン防水では作業工程や性質が異なります。
おおまかに分類すると「ウレタンは防水、ペンキは保護」と考えられるでしょう。
ウレタン防水とペンキの違い
ウレタン防水と塗装の作業目的などの違いについて説明していきます。
・ウレタン防水
ウレタン防水はハチミツ状のウレタン樹脂(油性)を塗りつけて硬化させるモノで、硬化したウレタン防水材はゴムのように弾力のある状態になります。
硬化前にハケやローラーで施工をおこない、仕上がりは鏡面のような状態を目指すことが理想です。
ウレタン防水材の硬化後、仕上げ作業としてトップコート(塗料)を塗布したら完了です。
・塗装
塗装は多少の防水性もあるのですが、防水のための素材ではなく、紫外線からの保護、ひび割れ防止の役割を果たしているのです。
外壁には水性、鉄部には油性の塗装剤を基本的には使用します。
仕上げの種類としては、平滑に仕上げるほかにパターンをつける場合もあります。

目的や施工対象、材料の性質が異なるため、同じ道具を使用しても作業は別物です。
「塗装は塗る、ウレタン防水は材料を少しでも多く一箇所にとどめる」というのが、施工時のポイントです。
ウレタン防水は表面が少し盛り上がるくらいがベストですが、塗装で同じくらい塗ると、塗料が流れて施工対象以外を汚してしまいます。
ウレタン防水塗料の選び方

ウレタン防水材(ウレタン防水塗料)を探してみると色々な種類があり、どれを選べばいいのかわからなくなってしまいますよね。
こちらでは材料を選ぶ時の目安を説明します。
1液と2液の違い
ウレタン防水材を調べていくと「1液」もしくは「2液」という表記を見かけるでしょう。
1液と2液の違いは、わかりやすくいうと以下のようになります。
- 1液=塗るだけ
- 2液=2つの原料を混ぜてから塗る
2液の原料を混ぜるのに電動工具が必要なため、DIYならば1液がいいでしょう。
1液の材料を選ぶポイント
1液のウレタン防水材を選ぶときのポイントを説明します。
2液の材料については後ほど説明をするので、そちらを参考にしてください。
1液のウレタン防水塗料を選ぶ際は、以下の2点に注意してください。
- 1液性と書いてある材料にする
- ウレタン防水工事一式セットのもの
(プライマー+防水塗料+トップコートがセット)
プライマーとは、ウレタン防水材と施工場所(下地)がくっつくための接着剤です。塗らないと簡単にはがれるので注意しましょう。
トップコートやプライマーがないと以下の問題が起こります。
- 簡単にはがれる
- 膨れがすぐできる
- ゴミがつきやすい
- 劣化しやすい
- 滑りやすい
後ほどウレタン防水の工法については、詳しく説明をします。
DIYにおススメの1液ウレタン防水塗料

メーカーも1液タイプに関しては基本的にDIY仕様で考えている場合が多いようです。
通販サイトで調べてセットになっているものの一部を紹介します。

日当たりのいい場所では遮熱性の高い材料、歩行する場所では滑りづらい材料など用途によって使い分けが必要になります。
DIYでのウレタン防水施工を始める前のチェックポイント

こちらではウレタン防水をDIYする場合に必要な以下の内容を説明します。
- チェック項目
- 施工のポイント
- オススメの道具
- 施工時の注意点
DIY前にぜひ参考にしてください。
休みの日しかできない
普段お仕事をしていると、お休みの日しかまともに作業できないでしょう。
雨などによる漏水が原因で、部屋の壁紙に水のシミができている場合や雨漏りがある場合は、少しでも早く防水施工を終わらせたいですよね。
早急に解決しないといけない問題がある場合は、DIYではなく、毎日作業に取り掛かってくれる施工業者に依頼する方がおススメです。
ローラーは毛抜きする
新品のローラーは、そのまま使い始めてはいけません。
ウレタンやトップコートを塗りつけた表面にローラーの毛が抜けて付着することで仕上がりが悪くなってしまうからです。
パイオランテープ(緑色の養生テープ)などの粘着面の上でローラーを転がして毛を抜きましょう。
先端を含めた全体の毛を起こすイメージで転がして、毛が抜けなくなってから使用することがおススメです。
ウレタン防水は厚みが大事
ウレタンはある程度の厚みがないと強度が低く、ひび割れ等の不具合が起こりやすくなります。
防水効果と強度の万全を期すために2回塗る必要があるでしょう(2層構造)。
厚みは1層あたり1ミリ、2層で2ミリが理想です。
材料はどれくらい使うのか
DIYをするにあたり、「ウレタン防水材をどれくらい使えば、どれくらいの広さ施工できるの?」という疑問をお持ちでしょう。
ウレタン防水材の使用料は以下で算出されます。
「ウレタン防水材の使用料(kg)=施工範囲(平方メートル)×2」
ウレタン防水材は、「1層塗るのに、1平方メートルに対して1キロ」なので2層の場合は、最後に2をかける必要があるのです。
トップコートの塗り方
ウレタン防水層を2層施工したら、仕上げにトップコートを塗ります。
トップコートは「TOP=一番上、COAT=(表面を)おおう/コーティング」という意味で、以下の役割を果たします。
- ウレタンを日差しから守る
- 遮熱効果で家を守る
- ゴミがたまらないようにする
- 滑り止め効果(床面)
- 見栄えをよくする
滑り止め効果に関しては、トップコートに専用のチップを入れて表面をザラザラにすることで可能となります。
注意点として立ち上がり(壁)や側溝部分にチップ入りのトップコートを塗布すると、水の流れが悪くなったり汚れがたまりやすくなったりすることがあります。
トップコートを塗布する場合は、対象個所に塗り残しや塗りむらが起きないように注意しましょう。
コツは、「縦横に十字を切るようにして、施工場所の凹凸に塗料が入るように塗る」というものです。
工事中に汚してしまった場合の対処
ウレタン防水材をはじめ、コーキング材など溶剤は水では落とすことができません。
水で落ちてしまうようでは防水の役目を果たせないため、溶剤は油性なのです。
溶剤はシンナーでふき取ることが可能ですが、一般の家庭でシンナーを手に入れることはなかなかできません。
家庭でも手に入れやすい代用品として、マニュキュアで使う除光液がおススメです。
1液のウレタン防水塗料は使い切り
1液の材料は一度でも封を開けてしまうと硬化が始まりますので、半日以内に使い切るようにしましょう。
ウレタン防水材は湿気や日光で硬化します。
2液のウレタン防水材は2つの原料を混ぜることでウレタン防水材が出来上がり、時間と共に硬化するのですが、1液はすでに材料が出来上がっている状態なので封を開けると硬化が始まるのです。
火気厳禁
ウレタン防水材は油性なので、火気厳禁です。
燃えやすい素材の近くや、火事の危険性のある場所にはおかないようにしましょう。
雨天では作業できない
ウレタン防水材は水を弾くので、下地が濡れていると水分が原因で接着できません。
また施工中に雨が降っても作業ができません。
雨が降る前にウレタン防水材を塗布したところは接着できますが、雨に打たれることで表面に無数のクレーター状の穴ができます。
見た目だけではなく、穴の中に水分を含んでしまうことで劣化が早まり漏水の原因になってしまいます。
穴が開いてしまった場合は、上からもう一度ウレタン防水材を塗布しなおす必要があります。
問題のある場所を見つけるのが難しい
家に漏水がある場合に専門的な知識がないと、どこが原因なのか見つけることは難しいでしょう。
見積もりと、打ち合わせまで業者に頼むという裏技もあります。
専門的な知識と技術がないと問題の根本的解決ができない可能性もあるため、DIYの場合は注意が必要です。
DIYできない場所もある
ウレタン防水の施工方法は以下の3種類があります。
- 密着工法
- メッシュ工法
- 通気緩衝工法
DIYで可能なものは、以下の理由から密着工法のみでしょう。
- 技術力が必要
- 材料が用意できない
密着工法を行う場合も、シンナーや減粘材(げんねんざい)によるウレタン防水材の硬さ調節ができないので施工性が悪くなるので、こちらも注意してください。
ウレタン防水3工法の説明は次項で行います。
ウレタン防水の工法とおススメの施工場所

ウレタン防水3工法について説明します。
それぞれのおススメ箇所は以下の一覧を参考にしてください。

DIYする場合は密着工法が前提となります。
それぞれの詳細を説明します。
密着工法
DIYが可能な工法です。
作業の流れは以下を参考にしてください。

メッシュ工法
ウレタン防水は、アスファルト防水など他の防水工法と違いつなぎ目がないため、隙間から水が入り込まないという長所があります。ただし、断裂しやすいという短所もあります。
メッシュ工法はウレタンの断裂を防ぐためにウレタン1層目前に、ガーゼの様なメッシュを貼る工法です。
メッシュ工法は、主に素材が異なる場所に施工します。
素材が異なると熱での伸縮率が違ったり、地震などで建物が揺れたときの動き方が異なったりするために、ウレタン防水層が断裂しやすくなるためです。
通気緩衝シート工法
屋上でおこなわれる工法です。
屋上は家の湿気が抜ける場所なので、密着工法だと湿気の逃げ道がなく膨れの原因になってしまいます。
通気緩衝シート工法は、屋上とウレタン防水層の間に湿気が通るシートを貼り、湿気が抜ける脱気筒(だっきとう)を設置する工法でもあります。
メッシュや通気緩衝シートは業者専門の材料屋で仕入れる素材なので、DIYでの対応は難しいでしょう。
各工法の施工対象を参考にして、DIYが難しい場所は施工業者にお願いするのもおススメです。
2液で主流なウレタン防水塗料一覧

防水施工業者は2液の材料を使用することがほとんどです。
こちらでは2液の材料の紹介をします。

※メーカーサイト
例外として一部1液タイプの材料も紹介していますが、業者が使用する材料は主に上記のモノです。
同じメーカーの中でも環境対応の材料や、メッシュ工法ではなくても十分な強度を持った材料もあります。
ウレタン防水を業者に頼んだ場合の費用相場

各工法を施工業者に依頼した場合の費用相場です。

次に費用を少しでも抑える方法を紹介します。
ウレタン防水の費用を抑えて業者に頼む方法

「ウレタン防水のメンテナンスは10年に1度」と考えられています。
前項の費用相場を参考にすると、決して安い費用ではないですよね。
以下では少しでも費用を抑える方法を紹介します。
相見積もりをする
相見積もりとは、以下の2点を目的に複数業者に見積もりを依頼することです。
- 施工の標準価格を知る
- 他社と価格競争させる
「注意点」
- 極端に値段を下げることで作業工程を省くなどの手抜き工事になること。
- 業者を決めたら他の業者に連絡をしないと、あなた以外の案件を保留にしているかもしれないこと。
施工業者に直接頼む
ゼネコンや工務店に頼むと、防水工事以外に必要な工事がある場合の業者の手配から管理まで、工事にかかわるすべての管理をしてもらえる代わりに費用がかかります。
「とりあえずウレタン防水工事だけでいい!」
そんな場合は施工業者に直接依頼をすると、その分だけ費用を抑えることができます。
やれるところは自分でやる
プロの業者とDIYでは、どうしても仕上がりに違いが生まれてしまいます。
それでもかまわない場合は、以下のように場所によってDIYか業者かを検討してみるといいでしょう。
- ベランダは密着工法で自分が施工
- 屋上は通気緩衝で業者に依頼
屋上はDIYでの工事は困難です。業者に依頼しましょう。
ベランダは、業者の仕事を見たり質問したりして、実際の工事の様子をつかんでから次回のメンテナンスでDIYするといいでしょう。
職人さんもお仕事中なので、質問は嫌がられない程度に控えたり、差し入れなどのコミュニケーションをとったりしながらだと色々と教えてくれるかもしれません。
ウレタン防水はDIYだとコストはかからないけれど大変

DIYでのウレタン防水工事の注意点や施工方法を紹介してきました。
一部だけでもDIYで補いたい方はぜひ参考にしてください。
とはいえ、屋上など施工業者ではないと施工困難な場所もありますし、キレイで確実な仕上がりを求めるならば業者に頼む方が確実です。
DIYでお考えのあなたも、問題点の把握のためにも一度は業者に無料見積もりを依頼してみるといいでしょう。
「ウレタン防水が高いワケ! 単価の算出方法と、安くする業者選びのポイント」ではウレタン防水の費用相場を詳しく解説しています。
ぜひチェックしてみましょう。