「ウレタン防水」3工法のおすすめ施工場所とメンテナンス手順

2020/02/22
ベランダ FRP防水

防水工事の中でウレタン防水はよく選択される工法です。

もしマンションの側溝部分の素材が、むき出しのコンクリではなく塗装がされているような状態ならウレタン防水、といって間違いないでしょう。

以下の場所の施工に向いているため、多くの大型建築物でウレタン防水を見かけます。

  • 側溝
  • 狭い場所
  • 入り組んだ場所

こちらではウレタン防水について、以下のことを説明しています。

  • ウレタン防水のメリット&デメリット
  • 3種類のウレタン防水とそれぞれの単価
  • 長持ちの秘訣&劣化の目安
  • 業者選びを失敗しないためのポイント

メリットやデメリットを把握して自宅に適しているかどうかを判断していきましょう。

「一軒家」と「大型建築」という建設業界の違い

一軒家

のちの説明のために、建築業界は大きく分けて「一軒家と大型建築」の2種類あることを解説しておきます。

日本の一軒家は木造建築が多く、大型建築はコンクリートで作ることが多いので工法が全く異なるからです。

一軒家の防水工事はバルコニーのFRP防水がメインで、ウレタン防水は少ないです。

以下の理由が考えられます。

  • ウレタンと木材の相性は悪く
  • 施工箇所が少ないと業者の割が合わない

木造住宅ではない一軒家の場合は、ウレタン防水をおこなうケースもあります。

この記事で他の防水工事についての説明がある場合は、大型建築の防水工事であることを頭に入れておいてください。

ウレタン防水とは? 特徴や5つのメリット

ウレタン防水と他の防水工法の大きな違いは「液体か固体か」です。

他の工法はシート状の防水材を敷き詰める施工であるのに対して、ウレタン防水は液体を平らにならして硬化を待つものです。

ウレタン防水が液体なことで生まれるメリットは以下の5点です。

  1. 複雑な場所にも施工可能
  2. 既存の防水層を撤去せずに重ね塗りが可能で廃材が少ない
  3. 防水層が軽量で建物に負担をかけにくい
  4. 継ぎ目のない防水層が形成可能
  5. 工期が短く、コストを抑えることが可能

それぞれ順に説明します。

複雑な場所にも施工可能

狭い場所や、エアコンの室外機など動かせないものが多いと、シートを貼り付けていくのは困難です。

シートの厚みを考慮すると場所によっては物理的に不可能な場合もあります。

液体を流し込んで平らにならしていくウレタン防水なら、複雑な場所にも対応できるのです。

既存の防水層を撤去せずに重ね塗りが可能で廃材が少ない

他の工法だと一部の張替えだけでは対応しにくい場合が多く、改修工事の際にはいったん防水層を撤去することがあります。

ウレタン防水では、傷んだ箇所のみ撤去して簡単な補修をし、防水材を重ね塗りするだけが多いです。

この場合のメリットは廃材の量だけではなく、工事中に雨が降っても防水層が残っているため浸水の可能性が低いことです。

防水層が軽量で建物に負担をかけにくい

建物は家具の配置でも傾くことがあるため、建材は軽いに越したことはありません。

防水に使うウレタンは非常に軽量です。

継ぎ目のない防水層が形成可能

液体を流して時間と共に硬化させる工法がウレタン防水です。

そのため既存の防水層とも、すきまなく密着します。

シート防水のような継ぎ目や、すきまがないため以下のメリットが生まれます。

  • 接着不良による漏水がない
  • 仕上がりがフラットで水はけがいい

仕上がりがフラットになり、水はけがよいため、漏水しやすい「側溝」の施工にも向いているのです。

工期が短く、コストを抑えることが可能

材料が安く、他の工法よりも人員を必要としないためコストを抑えることができます。

夏だと通常3~4日かかる工程も1~2日で完了させることも可能です。

ウレタン防水は施工範囲が広い

紹介したメリットのうち、以下はウレタン防水がバルコニーや廊下の側溝部分など幅広い場所への施工に向いている理由です。

  • 複雑な場所にも施工可能
  • 防水層が軽量で建物に負担をかけにくい
  • 継ぎ目のない防水層が形成可能

ウレタン防水の4つのデメリット

ポイント

施工範囲が広くとても使い勝手のいいウレタン防水ですが、以下のデメリットもあります。

  1. 硬化不良の可能性がある
  2. 天候が施工に大きく影響する
  3. 亀裂ができやすい
  4. 技術によって仕上がりが変わる

具体的にチェックしてみましょう。

硬化不良の可能性がある

ウレタン防水は主剤と硬化剤2つの原料を混ぜ合わせることで材料を作ることがほとんどです。

混ぜる比重を間違えたり、混合が不十分だと硬化しなかったりすることがあります。

見た目だとわからないことが多く、時間をおいてから硬化不良が発覚する恐ろしさがあるのです。

硬化不良した場所は撤去して再度施工することになります。

天候が施工に大きく影響する

防水工事はウレタン防水に限らず雨の日は施工できません。

防水材は水をはじくため、施工対象がぬれているとはじかれてしまい密着しないのです。

ウレタン防水は施工中に雨が降っても、すでにウレタンを流している場所は密着しますが、雨粒で表面に無数の穴があくため補修が必要です。

またウレタンは、日差しと高い気温、湿気で硬化します。

真夏だと、午前中に施工した場所が午後には乗れるくらい硬化することもあるため、工期の短縮が可能な場合もあります。

しかし冬だと翌日でも固まりきっていないこともあり、施工に時間がかかってしまうこともあるでしょう。

亀裂ができやすい

以下の2か所では亀裂が起きやすいです。

  1. 入隅(いりずみ)
  2. 下地の素材が変わる境界線

2つの壁の端がぶつかる部分を隅と呼び、谷のようにくぼんでいる隅が入隅です。室内に多いです。

逆に山のように出っ張っている隅は出隅と呼びます。室外に多いです。

入隅は建物の負担がかかるため亀裂ができやすいです。

また、下地の素材が変わる境界線は衝撃の吸収率や熱での伸縮率が変わるために亀裂ができやすいです。

のちに説明するメッシュ工法で対応が可能です。

技術によって仕上がりが変わる

どの職種でも建築は職人の腕により仕上がりが大きく異なります。

ウレタン防水の場合はウレタンの厚みを均一にすることや、立ち上がり(壁の部分)をダレないようにすることが重要なポイントとなります。

後ほど紹介する「失敗しない業者選びの3つのポイント」を参照してください。

ウレタン防水の3つの工法の手順と単価相場

外壁塗装の専門家

あらゆる場所に対応可能なウレタン防水ですが、場所によってオススメの工法が変わります。

以下の一覧表を参照してください。

それぞれの工法の特徴や手順について説明していきます。

密着工法

基本となる工法です。

手順や内容は以下を参考にしてください。

※建築において絶縁には2種類あります

1つは、施工する際に下地が不明だったり相性が悪かったりする場合に、一度別の素材を間に挟むこと。絶縁できるプライマーや、下地調整剤があるので、それらを使用します。

左官、塗装、防水など、材料を塗りつける業種で用いられる方法です。

2つ目は、一部を解体したり、剥がしたりしたいとき、対象個所に切り目を入れることです。必要な範囲以外に亀裂や剥がれか広がらないようにする目的があります。

ウレタンは1度で塗れる厚みに限界があるため、2度塗りをします。

メッシュ工法

メッシュ工法は、ウレタンの欠点であるひび割れに対応した工法です。

メッシュはガラス繊維の薄いガーゼ状の素材です。

ひび割れを起こしやすい場所に張り付けることでウレタンに強度を与える役目を果たします。

メッシュは内装のクロスを張る場合のほか、珪藻土を塗る前にも壁の継ぎ目にもひび割れ防止で使います


別名では寒冷紗(かんれいしゃ)とも言われていて、業者との打ち合わせの時にはこの名前で説明されることもあるかもしれません。

施工範囲全体にメッシュを貼り付けることもありますが、入隅や素材が変わる場所などひびが入りやすい場所のみ張り付けることもあります。

メッシュ工法の手順は以下となります。

最近ではメッシュ工法をしなくてもいい頑丈な素材のウレタンや、トップコートも出現しています。

しかし施工性の悪さや、予算の問題から一般的ではないため、メッシュ工法が選択されるのが現状です。

通気緩衝工法(絶縁工法)

屋上やルーフバルコニーは家の湿気を排出するために呼吸しています。

空気や水蒸気の逃げ道のない密着工法やメッシュ工法では、ウレタンと屋上の下地の間に水がたまったり、ウレタンがはがれたりと家やウレタン防水の劣化の素となってしまいます。

そのためシートを張ることで空気や湿気の通り道を作り、空気や湿気が抜けるための脱気筒(だっきとう)をつけて湿気の排出をさせる工法が生まれたのです。

それが通気緩衝工法(絶縁工法)です。

絶縁というのは下地とウレタンの間にシートを挟むために付いた名前だと考えられますが、通気や通気緩衝というのが一般的でしょう。

手順は以下のものです。

この手順のほかにドレン(排水溝)が古くなっている場合は、ドレンの上から回収ドレンというものを設置することもあります。

どの工法でも回収ドレンの設置を行うことがあります。

回収ドレンはよく「改修ドレン」と記述されていることが多いですが、「回収ドレン」が正しいので注意してください。

ウレタン防水各工法の平均的な単価の比較

紹介した価格の平均単価は以下を参照してください。

(単価はあくまで目安です。)

値段が上がる可能性として以下のことが考えられます。

  • 施工する面積が小さい
  • 下地の補修箇所が多い
  • 施工する場所が複雑な形をしている

ウレタン防水を施工するときは、屋上の床は通気緩衝工法で、立ち上がり(壁)はメッシュ工法、バルコニーは密着工法、というように工法を組み合わせて施工することがほとんどです。

ウレタン防水が長持ちする秘訣と8つの劣化ポイント

以下を参照してください。

一部大まかな対応策も載せていますが、以下のメンテナンスをしていれば基本的には問題ないでしょう。

  • 排水溝の点検・清掃をする
  • 35年ごとにトップコートを塗り替える

これらの説明をしていきます。

ドレン(排水溝)の点検・清掃をする

ドレンは、防水層と下地、樋(排水する管)が短い距離でジョイントしている場所です。

ジョイントの部分の糊付けが甘かったり、ずれたりしてしまうと、排水のために集まった水によって漏水が起こりやすくなります。

屋上や側溝は、ドレンに水が集まるように勾配ができているので、ゴミも水と一緒に流れてきます。

ゴミを放置すると水の流れを邪魔して水がたまる原因になるし、ゴミが樋へ流れることでつまりの原因にもなるので、定期的な清掃が必要です。

3~5年ごとにトップコートを塗り替える

メーカーは「3年ごとにトップコートの塗り替えを行い、3回目(10年目)にウレタン防水のやり直し」を推奨しています。

3年ごとに業者にトップコートの塗り替えだけを依頼するのは、予算的に難しい方も多いでしょう。

あくまで理想論としてとらえても基本的には大丈夫なのではと考えられます。

3年ごとに工事というのは、万に一つの不備も見逃してはいけないメーカー側のポリシーや親切心によるものととらえておきましょう。

失敗しない業者選びの3つのポイント

プロに相談

ウレタン防水は人の手での施工が基本となるため、技術の差が大きく出る職種の1つです。

また法外な値段で見積もりを出す業者、逆に極端に安い見積もりを出して施工手順を省く業者なども存在します。

以下では業者選びに失敗しないためのポイントとして以下の3点を紹介します。

  1. 相見積もり(あいみつもり)をする
  2. 実績や資格をチェックする
  3. 保証などのアフターフォローがあるか確認する

相見積もりをする

相見積もりとは、複数業者に見積もりを依頼することです。

メリットは以下の2点です。

  • 業界の適正価格を把握
  • 他社の見積もりを値段交渉の材料にできる

注意点は2点です。

1つ目は、極端な値段交渉により、業者が工程を省略したり材料をごまかしたりすることで経費を浮かす可能性があることです。

安かろう悪かろうは建築業界も同様なので、極端な値段交渉は控えましょう

2つ目は、業者を決定したら他の業者に連絡を入れることです。

あなたが保留のままにしていると、業者は他の案件をとれない場合もあるので注意しましょう。

実績や資格をチェックする

防水業界をはじめ、建築業界の各業種には国家資格があります。

1~2級までの技能と知識を問われる検定試験が存在し、1級を合格するにはかなりの技術と知識が必要となります。

会社のホームページがある場合は、有資格者の人数と資格内容を確認しましょう。

業者選びの重要なポイントになりえます。

また資格試験を受験させる業者は体制が整っている可能性が高いため、単価が極端に相場と異なる事もなく、施工も安心できる場合が多いでしょう。

保証などのアフターフォローがあるか確認する

保証期間中にメンテナンスをおこなってくれる業者など、アフターフォローがしっかりしている業者はキチンとした施工をする可能性が高いです。

もし保証期間内に問題が起こった場合、利益の出ないやり直しの施工をおこなう可能性があると思うと、いい加減な施工ができないでしょう。

あなたが業者選びでお悩みの場合は、ぜひこれらのポイントを参考にしてください。

防水の劣化は家全体の劣化

防水層が劣化していると他の場所も劣化しているおそれがあると考えられます。

他に劣化している箇所として考えらえるのは外壁塗装です。

外壁塗装も10年前後での塗りなおしが推奨されています。

外壁塗装の劣化によるひびで、家の強度の低下や浸水も考えられます。

10年に1度は家全体の劣化状況を見直してみてください。

ウレタン防水の工事にかかる費用相場については「ウレタン防水が高いワケ! 単価の算出方法と、安くする業者選びのポイント」で詳しく解説しています。

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外壁塗装の専門家

外壁塗装の専門家

塗装技能士の国家資格を持ち、老舗の塗装会社で職人をしていた元プロが監修しているサイトです

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